鰹節という言葉、聞いたことがないという人は、ほぼいないでしょう。最近では空前と言われる出汁ブームも相まって、本節、亀節、荒節、裸節、本枯節、花かつお、割節、丸節……と、鰹節にまつわるさまざまな呼称を耳にすることもあるはずです。しかし、その一つひとつがいったいなにを意味しているのか、あるいは、鰹節とは本来どのようなものなのかをちゃんと説明できるかと問われて、自信を持って「YES」と答えられる人は少ないのではないでしょうか。
ここでは鰹節とはなにか、本物の鰹節とはいったいどのようなものなのかをお話しします。

まず原料となるカツオの話から。
鰹節づくりは、カツオを選ぶことにはじまりますが、節にするカツオは脂がのりすぎても少なすぎてもダメなのです。脂がのりすぎると出汁がにごる原因となり、少なすぎると粘りやつやに欠けてしまいます。脂肪含有量は1%〜2%が最適で、4月〜7月に獲れたカツオがこれに合致し、この時期に獲れたカツオでできた節を春節と呼んでいます。

次に鰹節の呼称について。
カツオはまず3枚におろす(生切り)ことから作業がはじまります。2.5kg以上あるものは、3枚におろし後各身をそれぞれ血合を境に切り分けます。1尾のカツオから4本の節ができるのです。この背側を雄節、腹側を雌節と言います。これが本節と呼ばれるものです。一方2.5kgに満たないカツオは3枚におろした2本の鰹節になります。これは形が亀の甲に似ていることから亀節と呼ばれます。つまり本節、亀節とは形状による呼び名なのです。

本節、亀節はまた、どこまで手をかけるかで呼び名が変わります。煮熟して10回〜15回焙乾したものを荒節と呼びます。荒節をそのまま削ったものが花かつおです。荒節の表面を削ってタール、脂肪分を取り除いたものが裸節です。裸節にカビ付けと天日干しを繰り返して仕上げたものを枯節と呼びます。この仕上げには短くて4カ月、長ければ1年という時間が必要になります。製造工程は「本枯節ができるまで」をご覧ください。

的場水産では、カビ付けをした本節、亀節を総称して枯節と呼びます。また、カビ付けをした本節を本枯節、カビ付けをする前の本節を裸節と呼びます。

 

鰹節の分類

形状分類 仕上 節の呼称 削り節の呼称
本節 カビつけ 本枯節 かつお枯節削り節
荒節 裸節 かつお削り節
亀節 カビつけ 枯亀節 かつお枯節削り節
荒節 荒亀節 かつお削り節

 

カツオ以外にいろんな魚が節に加工されます。マグロ、ソウダガツオ、サバ、ムロアジ、イワシなどがよく知られていますが、この他にアゴ(トビウオ)、シャケなどもあります。これらは用途に応じて、さまざまに組み合わされ、家庭の味から有名料亭、レストランの味まで幅広く利用されています。

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